「お疲れー」

「じゃあまたなー」

「犬夜叉ー今日は助かったぞー」

「またよろしくなー」

「誰が行くかこのクソじじい共!」






田園風景が橙色に染まり始めた頃、村人達は今日の作業を終わらせ、わらわらと各々の家へと帰っていく。



犬夜叉も帰ろうかと思ったその時、何人かの村人に呼び止められた。

中には先ほど彼をからかった人も混じっている。



「犬夜叉」

「…なんだよ」

「今日は本当に世話になった」




「え」


犬夜叉は一瞬たじろいだ。



「いつもありがとよ」

「やっぱり力仕事はお前さんが頼りになるのぅ」

「この老いぼれにも、いやこの村にとっても、おめぇさんは本当に頼れることを覚えておいておくれ」

「おい三吉じいさん、遺言みたいなこと言うんじゃねぇだ」


はははは、と笑い声が沸く。



「とにかく、今日はありがとよ」

「また明日な」

「たまには俺たちにも頼ってくれよー」




「…おう」






彼の気付かない所で今のやりとりを聞いていた私は、

今絶対ひどく困ったような顔をしている彼に後ろから忍び寄った。


「犬夜叉」

「かごめ!?」



ほら、やっぱりちょっとあんた、頬まで染めちゃって、なかなかかわいい顔してんじゃないの。



「お疲れさま」

「お、おう」



うふふー。



なんだか今日は気分がいい。

きっと私の知らない彼を、ずるいけど、盗み見見てしまったからだろう。

自然と口元が緩んでしまう。



そんな私に犬夜叉は、


「おい、なにニヤニヤしてんだよ」


「いいからいいから」




だって、今の犬夜叉を見られるのが、私の幸せだから。

毎日が、幸せの日々だから。


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犬夜叉と村の人たち(特に爺さんとか)と仲良くしてたらいいなぁと。
てか、からかわれるような仲だともっといいなぁと(ぇ)
まあ基本からかう係は弥勒様だと思うけどね。